2018-04-07

2018年4月7日(土)『Mount Eerie Japan Tour 2018 松本公演』

Mount Eerie

モダンサイケデリアの先駆的存在であり続けるUSインディ音楽界の鬼才
"Mount Eerie"が5年半ぶりに来日!

濃霧ようなドローン、奥底で静かに唸るディストーションギター、立体的音響によるドラム録音などによるアナログの随を尽くしたウォールオブサウンドと、不安定ゆえに感情を静かに掻きむしる呟きの歌声により、90年代ローファイと2000年代フリーフォークの橋渡し役を務め、ダーティー・プロジェクターズやアニマル・コレクティヴ、グリズリー・ベアら現在のモダン・サイケデリア/アート・ポップ勢の先駆的存在であり続けて来たUSインディ音楽界の鬼才フィル・エルヴラムによる"Mount Eerie"が5年半ぶりに来日。松本にも登場します。
若干23歳でリリースした『The Glow Pt. 2』がPitchforkにてアルバム・オブ・ザ・イヤーに輝くなどの賞賛を受けながら、K Recordsの看板アーティストとして1990年代後半〜2000年代初頭までザ・マイクロフォンズとして作品を発表し、活動名義をマウント・イアリと変えた後も精力的にリリースを行っている彼。今回のツアーは、2016年に夭折した彼の最愛のパートナー、ジュヌヴィエーヴ・カストレイの死をテーマに、喪失、絶望、不在の感情を抱えた4ヶ月間の出来事を日記のように赤裸々に時間を追って綴るアルバム『A Crow Looked At Me』(2017年発売、衝撃と絶賛で迎えられ2017年のベスト・アルバム・リストの上位に多数選出される。)、その続編的内容でもあり、前作以降の時間の流れの中で浮かんでいく思考を少年期〜青年期のエピソードを交えつつ綴った『NOW ONLY』(2018年リリースの最新作。)の2枚のアルバムを携え公演を行います。静かなアコースティックギターの爪弾きと胸をえぐる生々しい歌声によって、彼の中で鳴り続けている愛妻の「こだま」が、そのパーソナルな悲しみを共有しえない私たちの前にも運ばれます。彼は「彼女を愛していると言っている自分の声を増殖させるために、これらの曲を書き、世間に発表する」(『A Crow Looked At Me』ブックレットより抜粋)とこの作品群が生まれ、多くの人たちの前で聴かれるということの理由を語っています。この日のライブ体験がどんな感情を私たちにもたらすのかはここで予測することなどできないでしょう。ライブ当日は、対訳付きのブックレットの貸し出しも行います。その美しいメロディに触れるだけでも彼の表現の魅力に存分に触れることはできますが、ぜひ詩を噛み締めながら聴いていただければと思います。

この日は、共演に長野が誇るフォークシンガー”The End”を迎えます。時代の流れを遠くの方で俯瞰しながら、風刺の効いたブラックユーモアたっぷりにまだ知らない感情に次々と名前をつけていくような(そして恐ろしくグッドメロディな)名曲の数々をひっそりと生み出してきた知る人ぞ知る長野市在住至宝フォークシンガー。友部正人やタテタカコらを筆頭した数々の音楽家が参加した2015年発売のトリビュート盤+ライブ盤の3枚組アルバム『だってあの娘が好きって言ったんだもの』によって全国にその存在が少しづつ知れ渡ってきている彼の音楽、松本で聴ける貴重な機会です。

////////////////////////////////////

2018年4月7日(土) Give me little more.
『Mount Eerie Japan Tour 2018  松本公演』
▽Live:Mount Eerie (US)  / The End
▽料金:(前)¥3,500 / (当)¥4,000  +1Dオーダー 
▽時間:(開場)19:00 / (開演)19:30
▽予約:give.melittlemore@gmail.com

////////////////////////////////////

Mount Eerie



ワシントン州アナコーテスを基盤とするフィル・エルヴラムのワンマン・プロジェクト。1990年代後半からザ・マイクロフォンズ名義で活動を開始。2001年の『The Glow Pt.2』』は、米Pitchforkの年間ベスト・アルバム獲得。2003年以降はマウント・イアリとして活動。夭折した妻の死をテーマとした衝撃的な作品『A Crow Looked At Me』(2017)は絶賛を持って迎えられた。約5年半振り、4回目の来日。


The End

長野在住のミュージシャン。長野市の歓楽街・権堂。その片隅で歌い続けること20余年、その間コツコツと生み出されたThe Endの歌には独特なユーモアと優しさ、音楽に対する愛情が溢れている。2014年3月には活動歴およそ20年を記念して、2日間合わせて7時間強にも及ぶ伝説のワンマンライブが開催された。現在まできちんと発表された音源はなく、今回のCDが実質の初音源となる。CDこそなかったものの、2000年ごろ発表した「引き潮」という曲は、全国各地で複数のミュージシャンにカバーされ、最終的には東京で「引き潮祭り」というライブイベントまで開催された。

「ある夏の一日、The Endを諏訪のとある集会のゲストのひとりとして見たばっかりに俺の人生はそれまでと少しちがう動きをするようになった。人生は楽しいなんて思わないけれど、淋しくなければおもしろくないなんて、あまり考えたことがなかったのだ。いやもしかしたら22歳のころ、そう思っていたのではなかったか、とThe Endに問われたと思った。ロックンロールは淋しいものだ。歌は淋しいものだ。それはすばらしいことだ。The Endのようにすばらしい歌しか歌わない、歌えない、作れない人はこの世には他に少ししかいない。あんまりほめると気持悪いと思われるかもしれないが、正直にそう思うのだから仕方がない。歯車の歯を見たり、散歩している犬の肛門を見たり、拾った石の面相を見たりするときの、もぞもぞとした不安が同居した快感、そういうことをThe Endは感じさせる。帰りたくない家に無意識に帰ってきてしまったことを家の玄関にたどりついたところで気がついた。その後悔と安堵とくやしさを歌で伝えられる男、The Endは牛も似合えばライオンも似合うし、一番似合うのはムササビだ。なんてカッコイイ男なんだろう。」湯浅学 / 音楽評論家